0020 板橋 ゲッコウ (11/82)
身長が高い。開いた胸元へ真っ先に目が行く。すごい谷間だ。
次に見た顔は、ケバケバしたまつ毛に、目が青い。カラーコンタクトか。
髪は真ん中分けのストレートで、赤みがかった茶髪。ケアをしたばかりで艶やかではあるが。
まるでキャバクラで働く様なギラギラした格好をしている。
これが、こんなにも夜の世界に汚染されたのが、マリアの素顔なのか。
「あっ」
しかし、マリアは我に会釈だけして、男の美容師が既に開けておいたエレベーターへ消えていった。
「え?まっ マリア」
どういう事だ!?我を置いて!何故行ってしまう!
強く呼び止める度胸すら無い中、エレベーターが下の階へ行ってしまう。我は慌ててエレベーターへ乗り込もうとした。
その時。
「お待たせゲッコウくん」
「え?」
背後から女の声。
我に声をかけたのは、美容師の女だった。さっき、マリアの髪を拭いていた。
「ま まさか」
「ぼくがマリアだよ」
エレベーターに乗った女性ではなく、その美容師がマリアだったのだ。