0020 板橋 ゲッコウ (7/82)
聞き慣れないマイクロミニという言葉や、一人称を「ぼく」と呼ぶ事。
マリアの言動には変わった言葉が多かったが、正直可愛いと思ってしまった。32歳と言われて、おばさんという年代が浮かぶものの、想像があまり着かない。
何気無く見ていたテレビで、今年30歳になる女優が出ていた。
我自身が小学校の時、人気ドラマに主演したのを機に数多くの番組やCMへ出演する様になった女優だが、当時24歳だった彼女は30歳になっても、変わらずに見えた。
そうか。30歳の女性は、こういうものなのだ。
意識して見る新たな世界と、マリアとのメールのやりとりの中で、我の中のマリアはどんどん美しくなっていった。
きっと白の似合う、貴婦人の様な姿で、世紀の女王を思わせる最後のミューズであろう。ミロのヴィーナスの様な想像に、我は自身を天よりの王者として彼女の手に口付けをする。
ゲッコウとマリアが、この憂うべき夜の世界を救うのだ。
マリアは我に言ってくれた。
『君は色んな人を救う人。ね?』
その一言は恐らく生涯忘れん。
我の想いは募り、とうとう言葉になった。
会って、語りたい。我はマリアにそう送った。
神に祈る気持ちで返事を待つと、我の携帯にメールが光臨する。