0020 板橋 ゲッコウ (3/82)
ネット上に設置し、どんな相談にも応えるものだ。
ネット上で一人称を我と語る内に、現実でも自身を我と呼ぶ様になった頃。我のサイトには様々な相談者がやって来ていた。
親の離婚に振り回される幼き兄弟。心無い恋人に傷付けられ、堕ちていく女子。
振られた振られた。悲しい悲しい。どうしたらいいか分からない。分からない。
手首を切りました。足首を切りました。首を絞めてみました。
痛くないけど血が出る所を教えて下さい。
子供はいつだって、大人の我がままに振り回されてきた。男はいつだって、女を泣かしてきた。
こうしている間にも、様々な子供が苦汁を舐めている。
我はそれを救おうとした。だが、我の力では癒せない傷もあった。離婚を無かった事にも出来なかった。
高貴なる我が志は誰にも理解されない。我の憂いは非行に走る同年代の者ども。
行き場も無く夜をさ迷う少女たち。自室に籠り、世界を拒絶した少年たち。
そして、いつの間にか我もそこにいた。
我が名はゲッコウ。
我こそは正義。
月夜に煌く最後の虹。
我は痛みの理解者を探している。