0020 板橋 ゲッコウ (2/82)
朝、起きるたびに死にたくなる。
重い頭、柔らかくなった首。グルグル回る思考と、胸焼けにも似た重いものが、我の目覚めの邪魔をする。
油断すると目玉が勝手に、グルンッと回転してしまう衝動に駆られる。無気力だけが確かに見える。
1日に何度も風呂へ入った。何故かと言うと、リセットしたかったから。人生を。
反面、洗面台では鏡を見なかった。
鏡を見るのが怖くなるほど、我は長い時間をベッドで過ごしていたから。ベッドと風呂の往復しかしなかったから。
我の身長の三分の二程の全身用鏡が、部屋の出入り口付近にある。
重い体を起こし、我はその前に立った。
黒く伸び切った髪。口の周りは産毛が生えている。痩せこけた頬に、死んだ魚の様な目。
「うっあ うあああ!」
耐えられなくなった我は、鏡に向かって、空になった陶器のコップを投げた。
音を立てて割れた鏡。割れたのは現実の自分の方。
振り返れば荒れ切って滅茶苦茶になった部屋がある。1階から母親の声がし、我が怒鳴る。
これが現実。いつもの日常がこれだった。いつからこうなった。
もう3ヶ月以上、高校には行っていない。
我の悩みは我だけのもの。我の憂いは我だけが抱くもの。誰に理解できるはずも、なかろう。
半年前のある日。
我は憂いの矛先を求め、中高生向けの相談サイトを始めた。