0019 練馬 ヨシムネ (55/63)
エイアは相変わらずの無垢な表情を見せた。
「ええ 構いませんよ ただ携帯電話は使わない事にしましょうか」
「いいよ お互いにね」
既に部下へ指示は出した。携帯を使う必要も無い。
エイアはそのまま、大通りの方へ歩きはじめる。もちろんミナミも、そっちへ着いて行った。
ワシは事務所に戻り、タバコを一服する。
「ほれ お座り」
暇潰しにワシがそう言っても、ワン公は姿勢を崩さずに背筋をピンッとして、ワシを常に監視している。
ワシは歩かずとも、蟻の様に部下が金を持ってくるのさ。この場合はキリギリスかしら。
30分程して、次々と部下が金を持って来た。1人目は3万、2人目は4万を置いて行く。
更に何人か来て、人数にして10人。金だけ置いて、さっさと帰らせたが、2人程は事務所に留まらせた。
この時点で集まったのは、55万円程。けどこの程度じゃあ、安心出来ないわね。
携帯電話も使わず今この時点、30分で55万ねえ。普通に考えたら上等かもしれないけど、我ながらパッとしない金額とも思う。
事務所の金庫には数千万入っているが、ワシが立ち上がる度にワン公が着いて回った。オチオチ便所にも行けんわ。
今頃エイアとミナミは街を駆け回って、金策しとる頃か。
普通ならどう動くかなあ。