0019 練馬 ヨシムネ (53/63)
エイアは自身の財布を取り出し、ミナミへ差し出す。高級だが男物のブランドで、黒ラメに金のエンブレムが入った長財布だった。
「何だし」
「責任を持って預かって下さい」
エイアの様子に、ワシも自身の財布をミナミへ差し出した。
「ミナミ 頼むよ」
「っち 分かった」
ミナミはワシとエイアのサイフを預かり、バッグの中へ入れる。
互いが持つ、手持ちの財産は一時的に没収。サイフにはカード類も入っているから、金融機関で下ろす事もできまいか。
全てにおいて0からのスタートってことね。
「あとさ ミナミを君に付けていいかい?」
「結構です」
ミナミはワシとエイアを交互に見る。何、監視役よ。
「その代わり 練馬さんには彼を着けます」
エイアがそう行った直後、ワシの足元へワン公がやってきた。
「っは!犬の監視役?」
「この子は賢いんで 変にイカサマをしたら噛み付きますよ」
ワン公は丸く、黒い瞳をワシへ向けている。
「構わんよ」
勝負は0円からの金稼ぎ。財布は没収。互いには監視役。いいじゃない。
彼女の提案したこの勝負、楽しもうじゃないの。