0019 練馬 ヨシムネ (49/63)

「分かりました じゃあ お名前 聞いていいですか?」


「ああ すまん ワシは練馬っちゅうんよ そっちの子はミナミちゃん」


ミナミがワシを睨むが、まあ姓や名だけなら問題無いでしょ。それよりも。


エイアの言葉は、本当に下調べもしないでこの事務所へぶっ込んできたのだと感じさせた。


こんなバカか英雄か紙一重な子と勝負する。ワシはまだ痛む唇を曲げない様、必死で笑いをこらえた。


勝負の先の勝負、そして更にその先の勝負。悪くないよねえ。


それから、ワシとエイアはクジの内容を書き、さっきと同じ手順でクジ引きの準備を整えた。


クジの数は互いに5つだが、ワシはもう1度、全てに「庄屋拳」と書く。もちろん筆圧を込めて。


クジを卓に置き、部屋の入り口からみて遠い方へエイアを座らせ、向かい側にワシとミナミが座る。


静かな事務所内。白い壁に光の筋、カレンダー、観葉植物。そんな背景の手前に、エイアと名乗る女。窓から差すわずかな光が、彼女をより神秘的に演出させる。


正面の女は、煌きという言葉はこの子の目の為にあるんじゃないかってほどの、流れ星みたいにキラキラした瞳をワシに向ける。


「勝負はクジ引きで決める 引いたクジに従った勝負を行う やり直しは無し」


ミナミの取り決めに、ワシとエイアが頷く。ワシはエイアに向かって、自身の頬をつつく仕草を見せた。


「いや クジを引いてからSCMを着けます」


「ほう」


しっかり、「クジの結果で勝敗が決まってしまう」というからくりに気付いておるわ。こりゃ一筋縄じゃいかなそうね。


「すみません 引いてもらえます?」


次に、エイアはクジ引きをミナミへ差し出した。


「あーしが?」