0005 荒川 エイア (23/29)

薄暗いカラオケBOXの中、ユウガはタバコの煙を吐き出しながら続ける。


「解放した場合 SCMは破損する」


あ、壊れちゃうんだ。


「それをもう1人の仲間に判断してもらう」


仲間って?と言おうとすると、私の心を読んだようにユウガは続けた。


「もう1人の仲間はまだ教えられない もし僕が奴隷になったら彼が君に知らせる」


私が無駄にガッカリしていても、ユウガはタバコを吸いながら笑顔で続けた。


「君が仮に裏切って 僕を奴隷にしたまま300万を手に入れようとするなどのズルもできないように 解放の判断も彼にしてもらう」


彼ということは男か。


口を挟むのは許されていなかったが、思わず口を出す。


「何それ 私は信用無いじゃん」


ユウガは困ったような笑顔を見せる。


「僕も必死なんだ だからせめて今説明している」


ユウガはコーラを一口飲み、灰皿にタバコを押し付けた。


「もし奴隷の僕を解放してくれれば 君には100万円渡す」


「ちょっと 何言ってんの」


100万円なんて、漫画やテレビの金額でしか知らない。私の言葉に構わず、ユウガは続ける。


「これが仲間と保険なんだ」


「真の勝利者とは勝利よりも敗北をよく考える」


「僕の好きな言葉だ 話は以上だよ」


ユウガは子供みたいな笑顔で手を広げた。さあ何でも言ってごらんという姿勢だ。