0019 練馬 ヨシムネ (40/63)

「誰だし あんた 」



ミナミの言葉と同時に、その女は靴音も立てずに近付く。



ゾワっとするほど綺麗なルックスと印象的な煌きを感じる目元。



その反面、まるで妖精の様に儚いとすら感じる。



ミナミもワシも、女の姿に思考を止めた。



次の瞬間には、女の存在がミナミの隣にあった。



そして、手には重そうな何かがある。



電池パック。電動インパクトの。



「え?」



ワシもミナミも何が起きたか、一瞬分からなかった。



ワシらが身構えるより先に、女はミナミが持っていたインパクトの電池パックを抜き取っていたのだ。



その女の動きは全てが自然過ぎて、まるで幽霊の様でもあり舞の様に優雅でもあった。



女が抜き取った電池パックを放り投げる。重い音が部屋に響き、わずかな振動が足裏を伝ってきた。



その音で、ミナミもワシも夢から覚めた様な感覚になる。



「っざけんな!どうやってここに入ったんだよ!」



そう、ここはワシの事務所。ミナミこそワシの身内として簡単にここへ入れるが、事務所の前には見張りがいたはず。