0019 練馬 ヨシムネ (39/63)
敗者に労わりは不要。
「ふぁっ」
そう言いたかったけど、間抜けな声しか出なかった。
数字を数える事からは解放されたけれど、歯がボロボロでうまく喋れない。
「でも結構あっさり負け認めてくれたし」
ああ。
そりゃそうさ。
ワシの本心はミナミの奴隷になりたかったんだもの。否、厳密にはツバキの奴隷でいたくなかった。
ミナミはバッグから携帯を取り出し操作を始める。
「ツバ公のあの手紙 SCMで人身売買するってホントなのか?」
「ふぉうっ」
ミナミもあの手紙を読んだか。ワシはタオルで口を押さえながら、ミナミの質問にうなづく。
「あいつ ふざけてるし 誰が来るかっつうの」
そうね。けど、最終的には全員を探そうとするよあいつは。
そう言いたいけど、唇を切ってうまく喋れない。
「ジジイ ツバ公から何か新しい事き 」
話し終わる前に言葉を切ったミナミ。
彼女の視線は、ワシの背後を見ていた。
釣られてワシも後ろを見上げると。
1人の、見知らぬ女がそこにいた。