0019 練馬 ヨシムネ (38/63)

そして、わずかに血の付いたインパクトの先をワシの額に近付ける。



「ブツブツ数字数えるのもうぜーし 解放してやるよ 負け認めろし」



ミナミがインパクトを使った鉄砲に対し、ワシが出そうとしたのは。



確かに狐だった。



ワシは目を瞑り、熱のこもった唇を口に含んだ。



ミナミの勢いは本気。どの道、負けていたか。



『 カチッ カチカチ 』



「あっ」



SCMから音が鳴った瞬間、ミナミもワシを見る。


そしてすぐにワシへ屈み込んだ。


バッグから白いタオルを取り出し、ワシの口元に当てる。


「ごめん ジジイ こんなのしか思いつかなくて」


ミナミはポツリとそう呟く。


ワシが負けた直後、ミナミは悲しそうな表情を見せた。


「許して」


珍しく弱々しいミナミの言い方。許してという言葉が頭に残る。


少し、ガッカリした。


元々怒りよりも驚きしかない。単純に怖かったのよ、ミナミが。


反面、ワシに無い若い勢いを見せてくれたミナミが嬉しかった。


けれど、謝らないで欲しかった。傲慢なままでいて欲しかった。