0019 練馬 ヨシムネ (28/63)
「ジジイ 相変わらず用心深いな」
別に何の根拠も無い。ただ、相手の思い通りにはさせん。
ワシはニヤリと笑いながら、組んだ腕にアゴを置いた。
「いーよ ジジイが引いて あーしが開く」
「さんびゃくよんじゅうにひん」
ミナミがそう言うと、ワシは腕を捲き、箱の中へ手を突っ込んで、中の紙をまさぐった。
妙に素直ね。この様子だと、まだ策があるのかしら。
ワシとミナミの紙は確かに、この中に入っている。中も確認し、ミナミの手元もあらわだった。
この時点で手品の様なイカサマはしていない。
そんな思考の矢先、ワシが中から取り出した1枚の紙。
それを開かないまま、ミナミに渡した。
ミナミは紙の端と端をつまみ、一気に開く。
書かれていた内容は 。
「ジジイ」
ミナミはワシに向かって、開いた紙の文字を見せた。
「ふざけてんのか?」
「くっくっ さんびゃくごじゅう」
堪え切れない笑いが、喉を引いた。