0018 北 ミナミ (60/67)
アンジュが、ベッドから起き上がって来た。
「寝てなさい!」
直後に、フジコの強い声。初めて聞いた。
「救急車が来るまで動かないで 奴隷にするとかしないとかじゃない 人として言ってるのよ?」
フジコがそう言っても、アンジュはカーテンを引っ張り、立ち上がろうとする。今のこいつに聞く素振りは無かった。
「アンジュは リュウオウ様と会うまで 病院に行かない」
そんなの無茶だし。
「アンジュを人質にして リュウオウ様をおびき寄せる気でしょ?」
あーしは直ぐに駆け寄り、ただアンジュが立つのを支えるしかなかった。
そんなあーしらを、フジコは座ったまま冷静に見る。
「それもいいけど リュウオウが そこまであなたを重要視してるって思うの?」
「さっき リュウオウ様から電話があったて アンジュを探してるって」
あーしとフジコのさっきの会話。それで、こいつ起き上がってきたのかよ。
「ふふ 本当に彼が好きなのね」
立ち上がったフジコに、あーしは思わず全身へ力を込めた。
けど、フジコはあーしに何かを差し出しただけだった。
「これ 渡しておくわ」
それは、白い封筒だった。