0018 北 ミナミ (55/67)

「持ってて」


あーしはフジコの指示通り、アンジュの足を浮かせる。フジコは綿か何かで、傷の周りを消毒し、持っていた包帯をアンジュの足へ巻き付けた。


「血は止まり始めてるけど 既に出血し過ぎてる この子ただでさえ貧血気味だから 早く輸血と点滴しないと」


あーしを見るフジコの瞳は真剣で、大人の厳しさすら感じた。


普段はぶっ飛んだ変な女だと思ってたけど、こーゆー姿を見て、初めて大人に会った安心を感じる。


「ここじゃ どう仕様も無いから 救急車を呼ぶわ」


フジコはそう言いながら、自分の机に向かった。


今の一瞬で、アンジュの傷口はキレイに止血され、真っ白な包帯が巻かれてた。


フジコ、腐っても看護師なんだ。


つうか、あーし、何でフジコに嘘付いたんだし。あーしが負けて、Mモードになって言えばいいのに。


負けたって言うのが嫌だった?


いや、違う。少しでもアンジュの有利な状況に、持ち込みたかったんだ。


「もしもし?急患です 場所は 」


カーテンの先で、フジコの声。救急車呼んでんだ。


アンジュが助かる。そう思うと、無性にホッとした。


「ここ 保健室?」


ベッドの横にあるイスに座っていると、かすれた声が聞こえた。


アンジュが意識を取り戻したんだ。