0018 北 ミナミ (52/67)

あーしらは高校の裏門近く、人通りの少ない住宅街まで来ていた。


その間も、蝶はあーしらの周りを飛び回る。


アンジュの血を欲しがってると思うと、気味が悪かった。


アンジュは人形みたいに受け身で、ほとんど動いてくれない。


いよいよマズイっしょ。あーしだって肩も横っ腹も痛いし。疲れたし。


「はあっ ああっ」


もう、限界。


「救急車呼んで 病院行こ」


あーしは静かにそう言った。


小声だけど、頼むから病院へ行って欲しいっていう、強い気持ちを込めたつもりだった。


けどアンジュからの返事は無い。


「おい?」


肩を揺らして、アンジュの耳に顔を近付ける。


「アンジュ!リュウオウ様に会うんだろ!?」


それでも返事が無い。さらに重い体重が、あーしに圧し掛かる。


アンジュは既に意識を失っていた。


まずい。まずいまずいまずい。


「しっかりしろよバカー!」