0018 北 ミナミ (51/67)
「あっ」
アンジュがまた何かに気付いた。
あーしもアンジュに釣られて前をみると。
道路の先に、一羽の蝶が見えた。
「りゅうきゅうみすじ」
今度は蝶々かよ。まさか、また車にひかれたら危ないから捕まえて安全な所に放せなんて言うんじゃねーだろーな。
「ねえ 知ってる?」
アンジュが静かにあーしへ話しかける。
「何だし」
つうか力入れて歩いてくれよ。重いんだからさあ。
「蝶って蜜だけじゃなくて 血も吸うの」
血も?
「何でそんな事 知ってんだよ」
「リュウオウ様に 教えてもらった」
またリュウオウ様かよ。
「リュウキュウミスジって沖縄の蝶だけど 血を吸うって リュウオウ様の名前と似てるから 覚えちゃった」
アンジュは少し得意気に、そう言った。
「ここ東京だし」
「アンジュ 今血だらけだから 蝶々が リュウオウ様にアンジュの居場所 教えてくれるかな」
んな訳ねーだろ。
けどアンジュは笑ってた。