0018 北 ミナミ (48/67)

アンジュは何も言わない。明らかにあーしへ言ったのは分かりきってるけど。


あーし、虫とか苦手なんだけど。嫌って言えねー。


なんであーしが、どうしてあーしが、とかじゃなくて、どうやってって。


避けなきゃ、移動させなきゃって、考えちまう。


改めてアンジュの奴隷になったと思うと、悔しさとかより、先が思いやられた。


「あーもー」


あーしはその辺に落ちてた小枝を拾い、カマキリに掴ませた。


なかなか思い通りに捕まらなかったけど、やっとの思いで花壇に放り投げる。


「満足でちゅかー?」


アンジュにそう言ったけど、あいつはまた、静かに顔をうつ伏せてた。


んだよ。誉めろし。


やがて来たタクシーに乗り込み、アンジュとあーしはリュウオウが通うっつう学校に向かった。


目的地が近付くに連れて、見覚えのあるロケーションに気付く。


「あーしらの学校の隣じゃねーかよ」


こんな近くにリュウオウがいたのか。


マンションから行った方が近かったじゃん。


今度のタクシーの運転手はあーしらの様子に何も聞いて来ないけど、バックミラーでチラチラとアンジュを見てくるのが分かった。


気持ちワリー。こういうおっさんマジウゼー。


「あと少しだぞ」


アンジュの口数はドンドン減ってった。