0017 江戸川 リュウオウ (8/58)
気付いた瞬間、ジュリアの顔が浮かぶ。
頭の悪そうな明るい髪に、茶色の眉。
スッピンと全然違う目の輝きでバカな顔で笑ったり、訳の分からない事言ったり、泣いたり。
泣いたり。
僕の初めての奴隷。
背の高い街路樹の先に、僅(わず)かに見えるジュリアの高校。
その手前にある、僕の学校。
そういえば、一緒に学校へ通学した日もあったな。
朝の通勤ラッシュ時、ギュウギュウ詰めの中で、あいつなぜか手を繋いできたんだ。
恥ずかしそうに意味不明な行動を取るあいつを、何だこのバカな生き物はと目前の過ぎ行く車窓の景色を眺めていた。
けど僕は黙って彼女の手に応えた。
モミクチャにされそうな満員電車の中で、あいつは必死に僕の手を握った。
なぜ、僕はあの時ジュリアと手を繋いだ。
なぜ、今更ジュリアとの思い出を思い出す。
なぜ、僕はジュリアの高校に向かってる。今!
僕は自分の学校に通うのを止め、ジュリアが通っていた私立高校へ歩き出していた。
くそ。
あの蝶々のせいだ。
あいつのせいでジュリアを思い出したんだ。