0017 江戸川 リュウオウ (7/58)

今日も保健室行こ。


そう思った瞬間、気持ちが少し軽くなった。


「ぁ」


学校の敷地に入ろうとすると、びらの様なものが僕の視界に飛び込んで来た。


灰色の校門を背景に、黒と紫の2枚がヒラヒラと宙を浮かんでいる。



それは一羽の蝶々だった。



リュウキュウミスジにも似ているけど、あれは沖縄の蝶だったはず。なんて種類だろ。


思わずその蝶を目で追う。


僕の手の平より小さいけど、少し重そうなその体をパタパタと必死に浮かせ、目的も無しに僕の目前を飛ぶ。


蝶々は更に上空へ浮かび上がり、目前の校門から逸れた方に飛んで行った。


ああ。


僕とした事が、朝から蟷螂や蝶々ごときに何振り回されてんだ。


そう思った瞬間、蝶が飛んで行った先の建物に気付く。


遠くに見える、あの建物は。



ジュリアが通っていた高校だった。