0017 江戸川 リュウオウ (3/58)
不思議だよね。
言葉も通じ無いのに、猫や犬や昆虫ですら、僕達人間は、多分他の動物も、警戒している様子は直感で感じ取れる。
練馬を超えようとした。
近くにある花壇に、そっと蟷螂を下ろす。
「リュウオウ そろそろ行くぞ」
中央はそう言いながら車に乗り込む。
蟷螂はジッとその場から動かない。
「うん」
そこで、産みな。
僕は蟷螂に振り返り、心の中でそう言った。
全て、うまく行ってた。
アクシデントがあっても繰り返し、繰り返し誰かを操ってきた。
中央の車に乗り込み、窓から外を見る。
ああ。
疲れたなあ。
蟷螂の小さな緑が、まだ花壇に見える。
僕が求めていたものって、なんだったけ。
僕が探しているものって、なんだったけ。
心無しか、あの蟷螂がジュリアに似ている気がした。