0016 葛飾 アンジュ 蝶 編 (64/79)

あれ?



どうしてフジコ先生、普通に腕組んでるの?



どうしてフジコ先生は襲われないの?



どうして、ジュリアだけ無理矢理。



「やっ!いやあ!」



頭から車に乗せられそうになるけど、両腕でドア際を掴んで反抗する。けど、スカジャンの男と北ミナミがジュリアの指を一本一本ドア際から剥ぎ取る。



何で、何でこんな事するの!?



「いやあああ!」



「うるせっ!」



男がジュリアの口を慌てて塞ぐ。



「ぶっ!んーっ!」



革臭い。噛もうとしたら、革の手袋を着けていた。



計画的なんだ。視界に映る光景から、頭の中に浮かぶ言葉。



ハメられた。



裏切られた。フジコも。あいつも、グルだった。



興奮した感情が、目から溢れる。マグマみたいに熱い涙がダクダクと出ているのが分かった。



バタンッ



車のドアが閉まった音で、更に絶望を感じる。



全ては数秒間の出来事だった。