6日目 (5/13)



ポタ、


ポタタッ





兄「…お前っ…、」


蓮見「知らねーだろ…お前みたいに何の不自由もしてない奴なんかに。


イジメられている奴の気持ちも

夢を奪われた奴の気持ちも

死にたいって、

自殺をしたいって考えるくらい苦しいって思う気持ちも!!」





瞳から涙を流しながら兄の襟元をグイッと力強く掴む蓮見くん。







『…っ!』







自分の事を言われているのかと思って思わずビクッと肩を震わす。

澪ちゃん…澪ちゃんも自殺を考えて…






蓮見「…っく、俺の…目の前で澪は死んだんだ。自殺した。一瞬の出来事だった」




…え?




耳を疑いたくなる言葉。現実。


死んだ?自殺?


あの澪ちゃんが自殺…なんて…






兄「へえ…自殺ねえ。

だってさ、ひかり






ニヤリ、と不気味に笑う兄。

まるでこの状況を楽しんでいるかのように、ニタニタと笑みを浮かべている。気持ち悪い…






兄「ふ…くははッ!!

じさ、自殺だって?は、笑える。まじ笑えるわ~。

あんなに偉そうな態度とって、俺に対抗してきたクセにあっさり自殺かよ!?ぶッ」


蓮見「てめえっ…!!!」


兄「蓮見。なんで片桐澪がイジメられていたか分かるか?

あいつは人気者で、サバサバしていて明るくて、みんなに好かれていた女だったのに

なーーんで急に、みんな手の平返したようにさ。イジメなんて」





ゾクリ。

と、楽しそうに笑う兄に恐怖を覚える。



怖い…兄は、この人は、本当に悪魔だ。






『…や、お兄ちゃん…!!』





そんな、


そんな事、蓮見くんが知ったら…蓮見くんに私は何て言ったらいいの?どうしたらいいの!?






兄「全部ひかりの所為だ。

俺の決めたルール

ひかりに近付かない事、ひかりと話さないこと、ひかりと関わらないこと、

これだけだった。

でも、片桐澪はそのルールを破りやがったんだ。


だからイジメの標的にした。


ま、それにしてもひかりって残酷な奴だよなあ!

片桐澪がイジメにあっているのに助けもしないんだからさ!

片桐澪は、お前を助けてくれたのに。


この裏切り者


『…ぁっ…、』





駄目だ…この事については何も言い返せない。

澪ちゃんがイジメられていることに気付かなかったのは事実。

私が原因でイジメられたことも事実。


兄の言う通り…私は裏切り者だ。







兄「そして挙句の果てに自殺。

ひかり。お前が関わらなければ片桐澪はイジメられることも、死ぬこともなかったんだよ!!」


『…ひっ、ぁああ、ごめ、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!』






もう限界。耐えられなかった。

泣く、というよりはただひたすら発狂し、叫んだと思う。


大好きだった澪ちゃんは私が殺してしまったんだ。

蓮見くんにとって、とても大切な人を奪ってしまったんだ。


私は、私なんかが居なければ…2人は不幸にならなかったのに!!






蓮見「…嘘…だろ、」


兄「本当の話だぞ、全部な。

可哀想だな…蓮見。


お前が助けようと思っているひかりは

お前の大切な片桐澪を裏切り、殺した奴なんだから。ははッ」







嘲笑う。


今の兄にピッタリの言葉だ。


私が…私の所為で……










昴「それは違うよ。