3日目 (10/18)
蓮見くんのその一言で、教室中がざわつく。
兄に反抗する人なんていない。反抗したらどうなるか、みんなわかり切っていることだから。
”終わったな”
”あいつはお終いだ”
”バカだな、転校生”
そんなクラスメイト達の声が散らつく。
蓮見「お前がこの学年の1番の権力者ってことは分かった。
で?だから何なの?
俺は俺のやりたいように学校生活送る気満々なんだけど」
更にざわつく。
もはや、クラスメイトだけではなく他のクラスの人達まで集まって来たみたい。
大問題だもん、兄に反抗なんて。
蓮見「ブスに執着し過ぎだろ!ブスに」
うん、なんで2回言ったの蓮見くん!
兄「…ひかりは可愛いよ?
可愛いくて可愛いくて仕方ない。だから俺が守ってんの。分かる?」
蓮見「ごめんごめんまじで分からないからその思考!!
守るって、意味分かって言ってんの?辞書貸すから調べてみろよ」
兄「はぁ~…蓮見、お前は歴代邪魔者ランキングの1位になりそうだな」
蓮見「それは光栄デスネ」
兄「俺を本気で怒らせたの、お前が初めてだよ蓮見」シュッ
蓮見「…いッ!?」
兄が振りかざしたカッターは、勢いよく蓮見くんの右腕に深く刺さり。蓮見くんは痛みのあまり顔を歪める。
腕からは赤い血がポタポタと流れ落ち、床を濡らす。
『お兄ちゃん!!
蓮見くんが死んじゃったら!』
兄「殺す気なんてないけど
そんな事したら、ひかりと居られなくなるだろ?はははッ!!
俺に逆らうとどうなるか分かってもらう為に…ちょっと痛めつけているだけ」
兄の言葉に、歓声。
は?ちょっと待ってよ。
なんで…何も言わないの?
なんでみんな兄の応援なんてしてるの?
蓮見くんが怪我しているのに、兄に刺されているのに、
オ カ シ イ ヨ
蓮見「なーんだブスだけかよ。正常なの」
『…蓮見くん、』
蓮見「ブスの兄ちゃんって洗脳とか出来ちゃうワケ?すご(笑)」
『わ、笑い事じゃないよ!!
蓮見くんそんなに血流して…てゆうか私の所為でこんなグサグサ…なんて謝っていいのか、ってその前に手当てを!!』
蓮見「落ち着けブス。ブスがもっとブスになるぞ!!」
『…こ、こんな時にまでブスって』
蓮見「つーか、何泣きそうな顔してんだよ気持ち悪ィ」
『だって私の所為じゃん!!
あと、別に泣きそうな顔なんてしてないからね!!』
蓮見「なってる。強がんなよばーか。
大体、俺がいつブスの所為って言った?
ブスの兄ちゃんがちょっと…いやかなり執着し過ぎているだけで、ブスが悪いわけじゃないから」
『…でも、』
蓮見「…泣きそうな顔すんなってば」
『わッ…!』
蓮見くんにわしゃわしゃと頭を撫でられ予想外の行為にびっくり。
いつもブスブス言って、撫でるよりは殴られていたから。余計に。
蓮見「特別大サービスで、俺がお前のこと守ってやってもいいけど」
そう言って蓮見くんは
初めて私に笑顔を向けてくれて
そして兄の前に立ちはだかった。