3日目 (5/18)



昴「…2時か。星、もう寝ようか」


『ぶふッ』


昴「何想像しているの?変態」


『ちちち違いますよ!!何も想像していませんからっ!!』







じぃっと疑いの眼差しを向けられる。


あああもう、なんで変に反応しちゃうかな私!!



なんで…



”ひかりには俺が居ればいい”





ドッ。






『…ッ!!』






…ーー嫌だ、違う、




兄なんて忘れろ。忘れろ忘れろ






昴「……星?」


『大丈夫、です…』






”俺に逆らったらどうなるか…分かってんだろうな?”


”ひかり、愛してるよ”






なんでなんで

なんで兄の言葉ばっかり…思い出したくない。今は兄なんていないのに。

忘れたいのに。消したいのに!!







昴「星?ねえ、どうしたの」




トン、






『ひッ…、
触らないでください!!!』






パシッ、と私の肩に置いた昴さんの手を勢いよく払う。しまった。つい反射で。

昴さんは何も悪くないのに…







昴「……僕が変態って言ったから、だから怒っているの?」


『…ちが、うんです…昴さんがどうこうってワケじゃ…』






絶対びっくりしている。


なんだこいつ?って思われる。


急にこんな態度で…気持ち悪いよ自分うえええ。









昴「星」





”ひかり”


いつも嫌だった。兄に名前を呼ばれることが。






昴「…星?」







”ひかり?”

”こっちにおいで”







嫌だった。兄に触れられることが。







昴「もう、」





グイッ








『…ひッ、』


昴「大丈夫。

怯えている理由は…まあなんとなく察するけど」






昴さんは
優しく私の肩を抱き寄せた。



兄に抱き締められても吐き気を覚えるだけだった…筈なのに。







昴「たくさん着信きてたよね?

星が怯えているのはその着信の相手が原因…かな」






話しながらも

トン、トン、と私の震えを落ち着かせようとしてくれる。

すごく、心地よい…。







昴「大体この僕が側にいるんだから。

何も心配は要らないよ」







昴さん、自信過剰だよ。







昴「大丈夫。

だから、今夜はゆっくり、安心して眠って?」







ね?っと更に念を押され。


私の中から不安や恐怖が、不思議とすぅっと消えて行くのが分かった。




昴さんみたいな人が


お兄ちゃんだったらどんなに幸せだったんだろう…。



そんな事を思いながら、私は昴さんの腕の中で眠りに落ちていった。



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