終業の鐘 (2/5)
時計の長針と短針が一定のペースで回り続け
気付けば窓からの景色は鮮やかなオレンジ色で染められていた。
笠井「さてと......帰るか」
クレーム処理課に残業もクソもない。
定時に入社し、定時に家路につく。
そんな機械的な課だった。
そう。”今まで”なら。
だが本日、俺はいつも通りのマニュアルをそのまま読み上げた様な1日ではなく
鷲宮さんに想いを伝えるという飛びっきりのイベントを成し遂げる為いつもとは違うルートを選んだ。
笠井「わ、鷲宮さん。その.....話って.....」
鷲宮「・・・・そうだな。あそこの公園で話そう」
笠井「う、うん」
何だ?
鷲宮さんは俺に、直属の上司である俺に一体どんな話があるというんだ?
わざわざ会社を出て場所を移さないと話せない様な内容なのか?
まさか会社を辞める相談などではないだろうな。
もしそうなら俺は発狂して鷲宮さんの豊満なパイオツを揉みまくることだろう。
鷲宮「さて、笠井。いや......笠井”先輩”」
笠井「・・・・・・・・・・・・・」
先輩!?
あ、あの鷲宮さんが俺の事を先輩と呼んだだと!?
有り得ない.....今日は4月1日だったか?
まさか今日が地球最後の日などではないだろうな。
笠井「鷲宮さん?急にどうしたの?変なキノコでも食べた?」
鷲宮「ブチ殺すぞ。失礼な奴だなお前は。人がせっかく勇気を出して先輩呼びをしてやったのに」
笠井「ご、ごめん.....急に呼ばれたからビックリして......」
鷲宮「だったら.........」
と、鷲宮さんは小さく咳払いをすると
夕陽に照らされながら僕を真っ直ぐ見つめた。
鷲宮「今から私が言うセリフを聞いたら、もっとビックリするだろうな」
笠井「え?どういう意味........」
鷲宮「私は...........お前が好きだ」
人は、働かなければ生きていけない。
毎日毎日、同じ事の繰り返し。
マニュアル通りの日々。
感情を殺し、モノクロの世界で生きている。
だが、ある日突然、そんな日々に”色”がついたら。
笠井「・・・・・・・・・・・・へ?」
きっと、それまでの景色とは一変して
世界が輝いて見える。