帰宅したいんだよ (5/7)
下呂「くぷっ、笠井さんこっちです」
笠井「OK!ったく....相変わらず迷路みたいな会社だなぁ」
ウネウネと曲がりくねった社内を進むと
何やら1つの部屋が正面に見えてきた。
下呂「はぁ....はぁ....。ここです....」
笠井「・・・・ここに先代社長が」
そこはまるで”刑務所”の様な。
暗く、冷たい場所だった。
例えるならこの会社の闇を全て掻き集めた様な所。
俺は、その黒く錆び付いた扉を見つめながらそう感じた。
笠井「でも....鍵は?」
下呂「私が持ってるわ。こういう時社長と友人でよかったと思うわね」
笠井「お前....鍵を持ってるなら何ですぐに助けてやらなかったんだよ」
下呂「大切な”命の恩人”を裏切る事は簡単そうに思えて実はとても難しい....という事よ。くぷっ」
下呂は鍵穴に差し込むと、鈍い音を立てるその扉をゆっくりと開いた。
笠井「・・・・・・・・・・・・何だよ、これ」
中には、女性が1人座っていた。
大きなリボンが左右に揺れている。
その女性は俺達を見ると、何かを悟ったかの様にニヤリと微笑んだ。
笠井「あの....た、助けに来ました....」
下呂「先代の....社長ですよね....?」
その女性はイスから立ち上がると、手を差し出した。
茜「助かったよ、ありがとう。・・・・では、行こうか」
笠井「い、行くって....どこに?」
茜「決まっているだろう?革命返しさ」