最悪の部下に恋した男 (6/10)
ーお昼ー
俺は基本的に社の食堂で食べるが
鷲宮さんはいつも課に残り、自分のデスクでムスッとした表情のままコンビニ弁当を食べている。
本人は『人が多い場所が嫌いだから』と言っているが、違うと思うんだ。
正直、鷲宮さんはウチの課の中で浮いている。
そりゃそうだ。
問題児枠で入社した元ヤンの女なんて怖くて誰も近寄れない。
・・・・でも。
笠井「鷲宮さん。俺、食堂行くけど。一緒に行こうよ」
俺は知っている。
鷲宮「・・・・い、いいよ別に。ここで食うから」
彼女の、いいところを。沢山。
笠井「またまたぁ~・・・・本当はそう言って寂しいんでしょ?正直に言いなよぉ。ほらほら~」
鷲宮「・・・・・・・・」イラァ....
ゴキッ!
笠井「ぐあああああああああ!!背骨があああああ!!絶対折れた.....!」
鷲宮「はっ。バーカ、自業自得だ。お前がグダグダうっせぇからそうなるんだよ」
鷲宮さんは唐揚げを口に運びながらそう吐き捨てた。
笠井「・・・・・・・・いたたた。あ~あ、絶対折れたな、背骨」
鷲宮「折れろ。そして死ね」
笠井「あはは....死ね、か。・・・・よし、じゃあ俺は食堂行くわ。また後でな」
鷲宮「・・・・・・・・・・・・あっ」
俺がそう言って背を向けた時
彼女の口が微かに動いた事を見逃さなかった。
笠井「・・・・・・・・ん?何?今何か言ったよね?」
振り返った俺に対し
鷲宮さんは『しまった!』とでも言う様に顔を赤くした。
鷲宮「べ、別に!?何も言ってねぇけどっ///あー、唐揚げ美味いなぁ!」
笠井「んん?んん~?」にやにや
鷲宮「~~~~~~っ////何だよウゼぇな!!唐揚げ美味いって言ってるだけだろ!!」
わかってるさ。
笠井「鷲宮さん。正直に」
彼女の本当の気持ちくらい。
鷲宮「~~~~~~~~~~~っ///で、デザートだけ!食うっ!」
笠井「ん。よくできました」
鷲宮「やめろっ!頭撫でんなっ///」
鷲宮さんの事が、好きだからな。