帰宅したいんだよ (2/7)
笠井「・・・・・・・・・ん。痛てて...。どこだ....ここ?」
どうやら意識を失っていたらしい。
どれくらい失神していたのかはわからないが
隣を見れば、何とも言えない表情で俺を見る狂歌の姿があった。
笠井「・・・・・っ!!テメェ.....ッ!!」
反射的に起き上がろうとして体に激痛が走る。
狂歌「ここは.....使われていない会議室だよ。気絶していたお前を背負って歩いていたらある人がここに案内してくれたんだ」
笠井「ある人......?誰だそれ」
俺の質問に対し、狂歌は俺の背後を見つめた。
それに合わせて俺も振り返る。
と。
笠井「・・・・・・・っ!?お、お前....」
そこに立っていたのは。
下呂「くぷっ。久しぶりですね、笠井さん」
笠井「げ、下呂さん!?何でここに.....いや、そもそも何で裏課のコイツと知り合いなんだ?」
狂歌「それは下呂さんが社長と大の親友だからだよ」
笠井「・・・・・大の親友」
・・・・・やっぱり、俺の予想は的中しちまった。
嫌な事ほどよく当たるって言うが、本当だな。
下呂さんと昼ヶ丘は裏で繋がっていた。
この事実はいざ目の前に突き付けられると正直かなりキツい。
だって.....下呂さんは.....
下呂「そんな顔をしないで下さい。確かに私と社長は友人です。いや、恩人と言っても過言ではないかもしれません」
笠井「・・・・・恩人?」
下呂「はい。・・・私はこの体質のせいで幼い頃から"居場所"という物がありませんでした」
でも.....社長はこんな私を拾ってくれた。
大きくなったら私の会社に入れ、と言ってくれた。
問題児枠ではなく、きっと、一人の友人として。
真っ暗だった私の世界に"居場所"を作ってくれたんです。
下呂「覚えていますか?」
笠井「・・・・・え?な、何を?」
下呂「私と笠井さんが、特別指導室で偶然会った時の事を」
笠井「あぁ....あったな、そんな事。懐かしい」
下呂「あの時はまだ....私は社長から"何も聞かされていなかった"の」
笠井「・・・・・・え?」
狂歌「俺っち達には勿論話していたさ....でも友人だった下呂さんにはギリギリまで打ち明ける事ができなかったみたいでさ...」
下呂「それが、何を意味するかわかる?」
笠井「・・・・・昼ヶ丘自身も計画に対して躊躇いがある」
下呂「そう。彼女は.....少しだけ壊れてしまったの。歯車が狂ってしまったの!!だから......お願い。彼女を......."救って"」
狂歌「俺っちからもお願いするよ....。俺っちも本当はこんな事したくないんだ」
笠井「・・・・・・・・・わかった」
俺だって.....こんな計画早く止めて鷲宮さんとイチャイチャしたいんだ。
笠井「まず何をすればいい。どういう順序で進めればいいんだ?」
下呂「まずは、"先代社長"を迎えに行く事ね」
狂歌「俺っちが場所知ってる.....案内するよ」
笠井「了解。・・・・・じゃあ今から俺達は仲間だ。よろしくな」
下呂「くぷっ。そうね、よろしく」
狂歌「敵が出てきたら任せろ。俺っちはボディガードだからな」
笠井「よっしゃ。じゃあ......」
終わりにしようぜ、何もかも。