オフィスラブ (8/10)
笠井「・・・・・・・・どうしよう」
完全に迷った。
ここに勤めて結構な時間が経つ.....が。
相変わらず迷路の様な社内だ。
笠井「えーっと....社長室....社長室....っと」
くっそ....こんなところで時間を食ってる場合じゃないのに....っ!
・・・・早く家に帰って温かい布団で寝たい。
笠井「あーもう!いいや!とりあえず右にーーーーーー」
ゴッ.....
笠井「ーーーーーーーーーーーーっ」
突然、背後から物凄い衝撃を受け
笠井は壁に叩きつけられた。
笠井「・・・・ってぇな。何だよ.....っ!!」
痛む後頭部を押さえながら振り返ると
そこに立っていたのは
狂歌「はぁ....はぁ.....っ!!お.....俺っちも.....こんな事やりたくないんだよ.....っ!!」
上着はスーツ、下はスウェットという奇妙な格好の大柄な男が立っていた。
笠井「・・・・お前。あの時の.....」
そうだ.....俺はこの変な男と1度会っている。社内の廊下で。
狂歌「悪く....思わないでくれ....っ!!社長の.....夢の為なんだ!!!」
泣き叫ぶその男は
震える手で、笠井に殴りかかった。
笠井「・・・悪りぃな。俺にも......」
”好きだよ、鷲宮さん”
笠井「捨てられねぇ”夢”があるんだよ」
ーーー医療室。
鷲宮「よし.....こんなものか」
すまんな、犬村.....。
もう少しだけ......耐えてくれ。
犬村「うっ.....鷲宮......か?」
傷だらけの犬村がか細い声でそう呟いた。
鷲宮「ーーーっ!犬村!目を覚ましたんだな....っ!よかった.....っ」
犬村「笠井は.......どうした」
鷲宮「今........”社長室”へ向かってる」
そう答えると、犬村は微かに微笑んだ。
犬村「なぜ.....だろうな。アイツなら.....」
全てを終わらせてくれると....そう思えるんだ。
鷲宮「・・・・・・・そうだな」
きっと大丈夫。
アイツは......
鷲宮「あのバカな先輩は.....仕事がよくできるからさ」