オフィスラブ (4/10)

ーーーーその頃。


笠井、鷲宮side。



笠井「くっそ....犬村....っ!!しっかりしろ!」



俺の背中でグッタリと倒れ込む犬村。


どうやら傷が予想以上に深かったらしい。


それに加えあの"劇薬"......正直、犬村の体はとうに限界を迎えていただろう。


それでもコイツは俺や黒夜....そして鷲宮さんまでも守ろうとした。



鷲宮「この先に傷を治療できる部屋があったはずだ。簡易的な道具しかないと思うが」


笠井「あぁ、わかった。そこで鷲宮さんは犬村の治療を頼む」


鷲宮「・・・・・・・笠井は?」



笠井「・・・・俺は。そのまま"社長室"に乗り込む」



全ての黒幕だった昼ヶ丘。


普段は特別指導室の室長と名乗り堂々とあの部屋に居座っていやがったんだ...。


まさか裏でこんな計画が始動していたとは誰一人気付くワケもねぇ。


社長の姿を誰も見たことがなかったのもこれで納得がいく。


当たり前だ。裏課の人間以外には室長として振舞っていたのだから。



鷲宮「・・・・・笠井。無事に帰ってこいよ」



笠井「わかってるよ。鷲宮さんもアイツらに見つからないように身を潜めてるんだよ?」



鷲宮「うん....。これからお前に全てを話すから、よく聞いてくれ」




そう言って鷲宮さんは全てを語り出した。



ーーーーこの会社で起きている、全ての出来事を。
































ーーーー社長室。




昼ヶ丘「あーもう。まだ集まらないの?ガラクタ達は」



大釜「ふぁぁ....錆金の帰りが嫌に遅いですね。まさかやられた...とか?」



昼ヶ丘「あはは。有り得ないわよ。ま、仮にそんな事になっていたとしてもその時はその時よ。計画に何の支障もないわ」



大釜「・・・・そうですか。それにしても社長。この問題児枠のリストに下呂とあと"もう一人"の名前が記載されていませんが....」



昼ヶ丘「あぁ、それはいいのよ。そのもう一人は.....トランプで例えるなら"ジョーカー"だから」



その言葉に大釜は小さなアクビを噛み殺しながら続けた。




大釜「・・・・?では....下呂の方は?」





昼ヶ丘「・・・・あの子は元々この計画から外しているわ」



大釜「・・・・・・・・なぜ?」






昼ヶ丘「そりゃ、だって........."親友"だもの」




必要の無い社員は裏切ることができても


親友は裏切れないわ?




大釜「ほう。社長と下呂にその様な繋がりがあったとは....驚きですな」




昼ヶ丘「昔からの.....友人なの」




行き場を失っていたあの子を、私が拾ってあげた。



あの子はこれから先もずっと、私の傍で生きていくのよ。