歯車が廻り出す (7/7)
笠井「犬が.....犬が喋ったああああああああ!!」
犬村「むむっ!?犬畜生などと一緒にするな!俺は営業課の犬村 湾。よろしくな、小僧」
笠井「犬に小僧って言われた!俺は小僧じゃねぇ!俺の名前は......」
と。
ガンッ......!!
それまで俺達のやり取りを黙って聞いていた蓬莱が
バットを荒々しく床に叩きつけた。
蓬莱「ねぇ、営業課の犬村。せっかく逃げたのに自分から捕まりにくるなんて.....バカだね。ねぇ、バカだね」
犬村「裏課の者か.....。貴様ら...一体何を企んでいるのだ。同じ社員として恥ずかしくないのか?」
その言葉に蓬莱は被っていた野球帽をさらに目深に被り直した。
蓬莱「”同じ”社員....?ねぇ....君達と同じステージに立たされる事が既に心外なんだけど」
犬村「・・・バカには何を言っても通じぬな。ならば、力でねじ伏せよう」
そう言ってネクタイを緩める犬村。
笠井「なっ....!まさかお前....アイツと闘う気か!?やめとけ!アイツとお前じゃ体格差が......」
~15分後~
犬村「・・・・ふぅ。さ、行こうか」
笠井「・・・・・・・・・・・・」
この犬めっちゃ強い.......。
あの蓬莱って奴一回も反撃できてなかったぞ.....?
いや、ちょっと待て。この犬ずっと二足歩行で闘ってたよな。どういう事?
何で犬なのに二足で歩けるの?ってか何で人の言葉を話せるの?いや、そもそもコイツ犬じゃなくて宇宙人.....
犬村「おい」
笠井「・・・・えっ?あ、はい!な、何でしょう!」
犬村「まだ貴様の名を聞いていなかった」
笠井「あ、あぁ....クレーム処理課の笠井っす」
犬村「クレーム処理課?と言う事は鷲宮と同じ課だな」
笠井「あれ?鷲宮さんのお知り合い?」
犬村「あぁ、以前ちょっとな。俺も鷲宮と同じ問題児枠で入社した身だからな」
笠井「え?じゃあ俺より年下じゃん。敬語を....」
犬村「とにかく!早く行くぞ!社長のところへ!」
笠井「・・・・・・・・・・。社長のところへ、って言ったってなぁ。その社長が誰かもわからんし」
犬村「俺は知っている。前に一度だけ会った事があってな。その時は気が付かなかったが....」
笠井「え?マジで?どんな人?」
犬村「普段は”特別指導室”という場所に居座っている」
笠井「・・・・・・・・・・・・ん?」
・・・・特別指導室?
ちょっと待て。それって.......。
犬村「名を、昼ヶ丘という」