「ごめんなさい」と言う勇気 (7/8)
その頃。
ここは【商品開発課】。
自らの頭脳に絶対の自信を持つ天才集団が集う場所。
飾り気のないその課には
ただ一つ、壁に大きく
『1%の努力と99%の才能』
と書かれた板が掲げてあるだけだった。
社員全員がPCと睨み合い、眉間にシワを寄せながら知恵を絞っている中
黒夜「これ、やり直し。その頭脳をもっと有効活用してくれないか?」
眼鏡をかけた黒髪の青年が
1人の女性社員に書類を突き返していた。
その目に光は無く、まるでゴミを見るかの様な濁った瞳。
説明書でも読み上げるかの様な淡々とした口調。
社員A「や、やり直しって....でも!課長は大丈夫だって....」
黒夜「だから?例え課長がOKを出したからと言ってもボクが出さなければ意味が無い。君、わかってる?ボクはこの課のNo.2だ」
社員A「な、何よ....!少し頭がいいからって....あなたまだ入社して数ヶ月でしょ!?しかも問題児枠で....」
黒夜「君は先程から何を言っているんだ?この課は完全なる”実力主義”。年齢、経歴などは一切意味を持たない。わかるか?君はボクより知能が低い。それが全てだ。何か反論は?」
社員A「うっ....わ、私の方が....ここで長く働いて....」
黒夜「何か、反論は?」
社員A「ゔっ....ゔわあああああああん!!やり直せばいいんでしょ!!びえええええ!!」
そう。彼は
黒夜「・・・・ふぅ。これだから女は面倒だ。泣けばいいと思っているからな」
問題児枠でこの商品開発課に配属され
僅か数ヶ月でNo.2に上り詰めた男。
IQ200の冷酷な天才。
黒夜 妃(クロヨル キサキ)。
黒夜「そう言えば...ボクの開発した商品に不備があったとか言っていたな....」
・・・・全く。
笑えない話だ。