「ごめんなさい」と言う勇気 (6/8)

八木「棚萌社長の技術力は素晴らしく、私以外の社員も全てサイボーグなのです」


棚萌「趣味ぬぁんだよね!サイボーグ造り!」


笠井「・・・・・・・・ん?”私以外の社員”?」


・・・・それってつまり。


社員全員サイボーグって事じゃねぇか。


笠井「・・・・はぁぁ。心配して損しましたよ。てっきり人の命が失われたのかと....」


鷲宮「寿命縮んだぜマジで....」



ホッと胸を撫で下ろす俺達に対し

棚萌は眉間にシワを寄せた。



棚萌「・・・・今の言葉は聞き捨てならぬぁいな


笠井「・・・・・・・・え?」


何かこの人....急に雰囲気が....。



と、思ったのも束の間。


俺は棚萌社長にネクタイを掴まれ

グイッと引き寄せられた。


僅か数cmの距離に瞳を鋭く光らせる棚萌の顔があった。


棚萌「・・・・そのセリフ。まるでサイボーグなら死んでもいいと聞こえるぐぁ?」


笠井「あ....いや......そんなつもりは...」



鷲宮「あぁ?手を離せよ。サイボーグに命なんてねぇだろ?


笠井「ーーーーーっ!鷲宮さん!余計な事言わないで!」



棚萌「それは違う。サイボーグにも命があるぃ、感情もある。お前らの製品の不備のせいで....我が社の大切な社員ぐぁ1人死んだんだ


笠井「・・・・・・・・っ!」



・・・・・・・・そうか。そうだよ。


だって八木さんは棚萌社長と話している時に



八木「棚萌社長。その辺でやめておきましょう」



確かに”微笑んで”いたじゃないか。



棚萌「ふん。全く....お前らの社員は皆こうなのくぁ?上の奴らの指導がなっとらんぬぁ」


棚萌は俺のネクタイから手を離すと

そのままコーラを口に運んだ。



八木「・・・・ふむ。まぁ、今のでご理解できたと思いますが、棚萌社長は私達を1人の”人間”として見てくれております」


更に八木は微笑みながら続ける。



八木「私はそれが何よりも嬉しく、幸せなのです」



笠井「・・・・・・・・す、すいませんでした。ほら、鷲宮さんも」


鷲宮「・・・・ちっ。悪かったよ」



棚萌「うん。わくぁればいいよ。・・・・で、話は変わるぐぁ。またお前らの製品を購入したい


笠井「・・・・え?ほ、本当ですか?でも....」


棚萌「まぁ、今回の不備の一件はもう済んだことどぅあ。気にしぬぁくていい」


八木「確かに不備はありましたが、あなた達の商品開発課の社員は本当に素晴らしいと思っております」


笠井「あ、ありがとうございます!」


鷲宮「商品開発課....って言えば....」



確か問題児枠が1人....。



棚萌「特にあの”天才”が本当に素晴らしいね。1人いるだるぉ?今回問題児枠で入社しとぁ」


笠井「え?だ、誰ですかね....すいません。他の課に詳しくないもので...」




八木「確か....IQ200の天才。商品開発課の....黒夜 妃(くろよる きさき)とか言いましたね」