「ごめんなさい」と言う勇気 (8/8)

ーーーーその頃。

笠井達は.....棚萌達に別れを告げていた。


棚萌「んじゃ、よるぉしく。商品開発課に伝えておいてくりぇ」


八木「そちらとはこれからも仲良くしていきたいですからね」


笠井「今回は本当に申し訳ありませんでした。ほら、鷲宮さんも.....っ!謝って.....!!」

石の様に硬直して頭を下げない鷲宮さんを手で押さえつける。


鷲宮「・・・・っ!す、すいません....でした.....っ!」


歯を食いしばり、唇を噛み締めながら

眉間にシワを寄せ、絞り出した言葉は


棚萌「うん。またな」


きっと、相手の心に届いただろう。


鷲宮さんの様な人間は決して人格が捻じ曲がっているワケではない。


ただ、どこまでも”不器用”なだけなのだ。


でも、絞り出した言葉の一つ一つは

嘘偽りの混ざっていない”純粋な本音”。



鷲宮さん、君は成長してるよ。間違いなく。


だってさ、その”ごめんなさいと言える勇気”は

入社前の君ならきっと持っていなかったモノだから。



笠井「よく頑張りました」


鷲宮「・・・・うっせ。アホ」


照れ臭そうに顔を背ける君を見て

また俺は好きになってしまう。


何度も、何度も、何度も

新たな君の表情を見るたびに


笠井「さーて!帰りますか!」



俺は、胸が締め付けられてしまうんだ。




鷲宮「あ、そう言えば。商品開発課に電話すんだろ?」


笠井「あぁ、帰ってから直接話に行くからいいよ」



例え君が


”会社”という大きな歯車の


ほんの小さな”部品”だったとしても。