犬村 湾という男 (5/9)

笠井(・・・・はぁ。やっと解放された)


結局何の為に特別指導室に呼ばれたんだ?俺は。

特にペナルティを受けるワケでもなく、普通に帰された....。


それに下呂さんが言いかけたセリフも気になるな.....。


笠井(何だっけ?昼ヶ丘さんに対して何か言ってたよな....?えーっと....)






プニュ







笠井「あ?今何か踏んで.......ん!?


俺は視線を下に移した直後、勢いよく後退った。


それは無理も無い。


なぜなら、俺の足下には



笠井「・・・・な、何だコイツ?」




パジャマ姿の女の子が気持ち良さそうに寝ていたからだ。



年は10歳程に見える。

ピンクのドット柄のパジャマで身を包み、廊下の端に丸くなって眠っていた。


それはもう見てるこっちまで眠くなってしまう程に。


笠井「・・・・だ、誰だよこの子。何でこんな場所で寝てんの?いや、そもそもどうやって社内に入り込んだんだ?意味がわからん....」



よく見ると。



【大釜 洲夜(オオガマ スヤ)が寝ています。起こさない様に】



と、ご丁寧に看板が立てられていた。


自分で書いたのだろうか。



笠井「大釜....洲夜?マジで誰なんだよ....。誰か呼んだ方がいい....よな?」



と。


その時だった。




大釜「くぁ......あふぅああああああぁ....」



笠井「・・・・・・・・・・・・」


あ、起きた.....。



丁度いい。直接聞いてみよう。



笠井「あ~・・・・えっと....お嬢ちゃん?君ねぇ、何でこんな場所で寝てるの?お父さんとお母さんは?」


大釜「・・・・・・・・・・・・」


笠井(・・・・俺の質問に答える気ゼロか!目が凄えトロンとしてやがる)


だが、ここで諦めたら試合終了だ。


入社3年目の意地....見せてやる。



笠井「えーっと....答えてくれるかな?君は、どこから、来たのかな?」



大釜「うっせーな、ばかやろー。ぶっとばすぞハゲ



笠井「まさかの毒舌!?