5人.....目... (13/23)
「姉ちゃんのお陰で
勉強が大好きになった。」
啓介君はすごく悲しそうに笑う
「うん。」
僕はこれしか言う言葉が
見つからない。
「だけど受験を控えた三ヶ月前に
姉ちゃんは....死んだ.....。」
「......っ......」
啓介君はこんなに
辛い思いをしていたんだ。
「丁度今より少し前の
12月の頃だった。
塾に行った帰りの交通事故...。
相手は酒を...飲んでいた。」
啓介君は続ける。
「ありえないと思った。
なんで姉ちゃんが死なないと
いけないのって思った。
人の命は平等なのは知ってるけど
もっと頑張ってない人が
死んだっていいでしょって思った。
例えば...俺とか。
俺は姉ちゃんの頑張りを
見てきたから余計に悔しかった。」
商店へいく帰り道。
辺りはもう真っ暗。
啓介君の声だけが周りに響く。
いつもより商店につく時間が
異常に遅く感じられた。
「だから俺は姉ちゃんの夢だった
天神高校に行って
姉ちゃんの夢だった子供達を
救いたいって夢を叶えたい。」
啓介君は今日一番の笑顔で
笑った。
僕は全てを聞き終えて
なんて深い話なんだろうと
ただ頭がいいだけの僕が
行っていいのかという疑問さえ
生じた。
でも僕も勉強が好きで
天神高校で勉強したいという
思いは誰にも負けていない。
啓介君よりも。