5人.....目... (10/23)
「実は...俺さ姉ちゃんいて。」
突然、啓介君がお姉さんの話をした。
啓介君を見ると
とても悲しそうな表情をしていた。
「正確には''いた’’だけどな。」
僕はこの言葉を聞いた時
時が止まったかのような
なんで過去を掘り返すような
バカな質問をしたんだろう
と、思った。
「...啓介君、ごめん。」
「なんでガリ勉が
謝るんだよー。」
僕は啓介君に謝る。
だけど啓介君は僕のせいじゃないと
言わんばかりに
話を進めていく。
「俺の姉ちゃん。
頭が良かったんだわ。
学校でいつも1番を争ってたくらい。
だから今の俺と同じ受験生の時に
私!天神高校いくね!って
笑顔で.....俺に話してきたの。」
啓介君は苦しそうな
懐かしそうな表情を浮かべた。
「俺は昔から勉強が嫌いで
翌日テストがあっても全然
勉強しないで臨むバカなやつだったんだ。
そんな俺を見た姉ちゃんは
勉強しなさい!楽しいわよ?
よし、姉ちゃんが教えてあげる!
って俺にずっと言ってきた。」
「弟思いのお姉さんだったんだね」
「とっても。
だから俺、一回だけ
真面目に勉強してテストに
望んだんだよ。
姉ちゃんに夜中まで勉強
教えてもらってさ、
もう頭が割れるくらい
知識を埋め込まれてた。」
ははっと啓介君は笑う。
「勉強を教えてもらってる時に
なんで天神高校を行きたいのか
姉ちゃんに聞いたんだ。
姉ちゃんってば急に真剣な顔に
なっちゃってさ.......」
啓介君は上を見ながら
さっきよりも微笑みながら
僕に話す。
「姉ちゃんったらさ、」