なな。 (23/32)






「私、養子なの」







ゆいの口から衝撃の事実を
聞いた俺は何で答えたらいいか
わからなかった。



「そんな悲しい顔しないで」


寂しく笑った彼女。




「中学生だった頃にね
たまたま両親が話している声が
聞こえたの。
ゆいがいい子になって良かった
早く本当の親現れないかしら
ってね。」



笑いたくもないのに
また俺に笑う。




「それ聞いて私、
あー私って本当の親に捨てられたんだ。
育ての親にもあんなこと言われて
どうせまた捨てられるんだって。
そしたらなんか家に
居づらくなって
今まで優しすぎる親の
真実を知っちゃって
ずっとギリギリまで学校にいた。」



「うん。」



俺はゆいの次々から
出てくる言葉に
うなづくしか出来なかった。




「それでどうせ学校に残るなら
今まで育ててくれた感謝の
気持ちを返そうって思って
あんま好きでもない勉強やって
お金持ちになって
お金渡そうって思ったんだ。」



「だから勉強してたんだ」




俺は前に無神経に
質問してしまった自分に
あきれた。




「そして早く出ていたい。
出て行ってこんな汚い自分に
けじめをつけたい。」



暗くなった海を見ながら言う。




「ゆいは汚くなんかないよ。」


「私は汚い人間なの。
せっかく育ててもらったのに
本音を聞いてすごく憎くなった。
こんな自分が嫌なの....」




ゆいの目からはとても
綺麗な雫がおちる。



「泣かないでよ。
勘違いかもしれないよ?
ゆいをここまでいい人に
育ててくれた人達なんだよ?」


俺は思う。
絶対にゆいの育ての親は
ゆいのことが大好きなんだと。


なんでだろう。
なんとなくそんな気がしたんだ。