ストーカーLevel5 (11/12)
「…帰る」
「あ、待って!冗談だから!」
「私にはそうは聞こえなかった」
「今ね、ものすごく美月たんをぎゅーしたい!」
「…ちょっ、何なの」
「ぎゅー…したいなあ、と思って」
「……っ」
静まれ私の心臓。
大丈夫。
相手はただの変態ドM男だ。
動揺するな。
「俺ね、美月たんにカップルみたいなこと言われたことも、されたこともなかったから…」
当たり前だろ。
毎日のように踏んで罵ってと叫んで喘ぐ変態に、カップルまがいなことなんてできるはずがない。
「だから、触るのいっつも我慢してた」
「いつも心の声だだ漏れだったけどね」
「だって美月たんかわいいから!」
「またそう言う」
「俺、美月たんにさっきみたいなこと言われて我慢できるほど、従順じゃないみたい」
「なに言っ…うぁっ」
気づけば君の、腕の中。