ストーカーLevel5 (9/12)
「さっきは高橋さんと話してた。それで遅くなっちゃって…」
「え…」
佳奈………?
「ごめんね」
「いや、だから別にいいって」
さっきは佳奈、沖谷のこと知らないって…。
どういうことだろう…?
まあいいか。深い意味はないのかも。
「じゃあ帰ろうか」
「ん」
「…てか、美月たんってさあ」
「うん」
「美月たんって、俺と」
「だから何!言わないならまた殴るよ」
「ハァハァハァハァハァハァ」
「あ、今のナシ」
「えー」
「えー、じゃないから。」
「俺と、付き合ってないの…?」
「…えっ?」
「今日の朝、美月たんがそう言ってるの聞いたから」
あ、聞こえてたんだ、さっきの会話。
「…わかんない」
「なんで。」
「なんでって言われても」
「俺は、付き合ってると思ってた」
「……」
「ちがうの?」
「私、そういうの、ほんとにわかんなくて」
私は本当に何がしたいんだろう。
「でも、私」
「でも?」
「私、沖谷のこと…何もしらないし」
「うん」
「成り行きで付き合っただけだし」
「うん」
「だけど、あんたのこと、だから知りたいって思うときがある」
「…ん」
「今はそれ以上のことはわかんないけど、それでもまだ私と付き合おうって気持ちがあったら」
…あったら…。
「ちゃんと、付き合おう」
気づいた。
私、沖谷のこと嫌いじゃない。