推理~探偵~ (12/13)

「あなたの勤めている会社は車の部品会社だ。だからその中に使われているセンサーを使ったんでしょう。そして、真由美さんに指定の位置を歩かせ車の中に仕掛けてあるセンサーと、美代子さんの持っているセンサーの間を通った瞬間針が発射。見事、殺人の完了です。美代子さんのセンサーは恐らく服の中だ。歩くたびに反射するスパンコールの服の中で一ヶ所だけ反射の仕方が違った。そこにセンサーが仕込まれているんだと思います。違いますか?」

俺の問いに2人とも黙ったままだ。

沈黙は答えってね。

「屋上のセンサーは和夫さんが回収するか、取引会社の方に回収させるかしようとしたんだと思いますが、もう警察を向かわせてあります。さて、まだ反論はありますか?」

そう言った直後。

和夫は出口の方に走った。
美代子も後に続こうとする。


エスケープなんて許さないよ。


下段蹴り一線。

俺の横を通り過ぎようとした和夫は大きく転倒した。
それを見た美代子も後ずさる。

すると、突然和夫が地面に伏せたまましくしくと泣きはじめた。

「あいつがいけないんだ!!真由美があんなことを言いやがったから…!!」


…知らねぇよ、ばぁか。

「止めて下さい。動機なんて聞きたくもない。事件が解決すれば私はそれ以外興味はないです。何より、私が許せないのはあなた達が探偵を利用しようとしたことだ。探偵にアリバイを証明させたかったのかもしれないですが、浅はかなり。」


そして俺は和夫と美代子の方を指差す。


「探偵、なめんなよ。」

決まった。

ナイスな決めゼリフだ、俺。

これには和夫だけでなく美代子もガックリと肩を落とした。

俺はそれを尻目に2人を残して外に出る。


外にはすでにパトカーが止まっていた。

あとは警察の仕事だ。


「相良さーん!」

警官が一人、駆け寄ってくる。

もちろん俺がさっき電話したやつだ。

「遺体は?」

「遺体も犯人も中にいるよ。ご苦労様。」


俺は警官の肩にポンと手を置いて、そのまま自分の車に乗り込んだ。


あ、そういえば報酬貰ってないなぁ。


まぁ仕方ないが少し損をした気分だ。

漫画の探偵も無賃で推理なんて毎度毎度よくやるよ。

俺はため息を吐きつつ車を走らせる。


深夜の閑散とした町は孤独な気持ちをより一層掻き立てた。


人を推理するってのは酷なもんだ。


真実を暴いて喜ばれることもあれば悲しまれることもある。


知らないほうが良い真実も中にはある。


推理することで最良が得られるとは限らない。


はぁ、悲しいねぇ。


俺は寂しさと悲しさをかき消すようにラジオのボリュームを上げた。