推理~探偵~ (5/13)



午後9時


ウィンダブルの向かい側にある喫茶店に足を運んだ。


そして一番窓側の席に腰を下ろす。


もちろんお茶をしに来たわけではなく、和夫の動向を探るためだ。



「ご注文はお決まりでしょうか?」

「コーヒー、ホットで。」


店員に即答した俺は机の上に資料を広げる。


ウィンダブルの会社概要などの資料である。


ウィンダブルはエンジン部品であるオルタネータやラジエーターなどを主な生産している会社らしい。


そしてこれが和夫の写真。

歳の割りには老けた顔で、口の回りにはそれを強調するようなモサッとした髭が生えている。

会社の専務ともなると、写真の入手は簡単だった。

ホームページにでかでかと掲載されているのをコピーしただけ。

よくもまぁそんな立場で不倫なんて出来たものだ。


俺には大事な仕事のタネになったわけだが。


とにかく今日は和夫の不倫関係の有無を確認したい。

仮に今日中に確認出来なくてもいつかはしっぽを出すだろう。


俺はそんな事を思いながらコーヒーを一口飲み、窓の外に目をやる。


そろそろ会社から出てくるはずだが。



その時、会社から一人の男が出てきた。

すぐに手元の写真とそいつを見比べる。



間違いない、こいつだ。


さて、尾行を開始しようかな。


俺は資料を片付け、席を立とうとした。




しかし、予想外にも和夫は喫茶店に入ってきた。



マジかよ!



資料を急いでカバンにしまうと、あらかじめ用意してあったクロスワードの雑誌を机に出す。



念のために持って来ておいてよかったなぁ。


そして、平然を装う俺の後ろの席に和夫は座った。


あー、びびった。


しかし、これで調査がしやすくなったな。


現在午後9時15分。


俺はクロスワードをする振りをしながら雑誌の隅に和夫が会社を出た時間を書き込んだ。



和夫はというと、先ほどから腕時計を気に掛けている。


誰かと待ち合わせをしているのか?



これで不倫相手だったらラッキーだなぁ。



まぁそうそう上手くはいかないと思うが。



午後9時20分。


和夫の席に一人の女性が腰を下ろした。





あ、ラッキー。