先生のヒミツ (24/25)

無抵抗な私に水が掛けられた。


既に呼吸が乱れていたせいで、すぐに水地獄へ誘われた。


水を吸うまいと息を止めても苦しい……


酸素を求め、呼吸をすれば代わりに水が入りこむ……


吐き出した水は顔を覆ったタオルをより一層、不透過なマスクに変えていく……





「僕がいる事に気付かずに隣の部屋でヤってたんだよ」



意識がなくなりつつある私の耳に声が聞こえる。
もう意味は理解できない。



「その時にコンドームをもらった話も聞こえてきたってこと」




苦しい……
頭から意識の塊が抜けていく……



「当時は何のことかわからなったけどね」



『はい、これお守りよ』

過去の記憶が脳内でフラッシュした。



「せいぜい後悔しなよ、先生」

遠ざかっていく中性的な声。


『お守り?やよっち、これコンドームだよね?』


からかうように私を見上げる白神奈子。



『うん、だけどお守りなのよ』



『どういうこと、それ』


あの日の記憶が映像を再生するように流れ始めた。






意識の中の私はわかっていた、これは走馬灯なんだということをーーーーーー