先生のヒミツ (13/25)
夏休み明けから1ヶ月後、実力テストがありました。
特別講習の成果を出すチャンスだと、私は3人に激励を飛ばしました。
実力テストまで本当に頑張っていたと思います。
1年生の頃の不良の面影は、ほとんど無かったです。
外面的にはまだまだ不良の部類に入っていましたが。
特に頑張っていたのは、意外にも地村君でした。
放課後、なっちゃんや楢崎君に勉強を教える姿も見受けられました。
どうして彼がそこまで頑張っていたのか……
それは、なっちゃんに勉強を教える地村君を見ていれば薄々気がつきました……
3人が夏休みに無遅刻無欠席を果たせたそれぞれの理由がわかりました。
実力テストの結果は上々でした。
といっても他の生徒と比べてしまうと、明らかな力量差はありました。
ですがその頃の3人は、いい顔をしていました……
夏休みの特別講習の件は、生徒指導の浜田先生にも伝えてありました。
「その調子で彼らを更生してやってくれ」と浜田先生に頼まれました。
新米教師として、自分に出来る事に全力で取り組もうと意気込みました。
いつか彼らが教育をする立場になった時、私の姿を思い出してくれたら、力になれたらという思いで向き合いました。
9月中旬。
実力テストも終わって気が緩んだのか、なっちゃん達は授業が終わるとすぐに下校するようになりました。
放課後の私との会話もなくなりました。
その頃から、奈子さんは学校を欠席するようになります。
夏休み中、頑張っていたのだから息抜きをさせてあげようと温かい目で見ていたんです……
……不吉な予感を胸に抱きながら。