先生のヒミツ (2/25)
大したことはお話しできないかもしれませんが、奈子さんがどのような生徒だったかをお伝えできればと思います。
彼女に対しての第一印象ですか?
ああ。
『手のかかりそうな子』というのが私の率直な感想です。
初めて顔を合わせたのは始業式の日の朝一番でした。
しかも生徒指導室です。
私も驚きました。
赴任してきた初日に、まだ自分が受け持つ生徒の顔を見ていない状態で、生徒指導室に呼び出されるなんて。
生徒指導室に行くと金髪の女の子がパイプ椅子に座っていました。
ミニスカートで足を組んみ、大きな態度で座っていました。
そしてそれを睨みつける生徒指導の浜田先生。
「佐倉先生、彼女はあなたのクラスの生徒で白神奈子といいます」
浜田先生は彼女を紹介してくれました。
奈子さんはというと私をひと目見てクスッと笑いました。
「若いねー、先生」
「あら、ありがとう」
これが彼女との初めて交わした言葉です。
後々わかったのですが、この時の私の返事に親しみやすさを覚えたようです。
他の先生なら「ふざけるな!」と一喝する、と。
この学校に赴任してきて、右も左もわからない私としては、生徒と関わりを持てて嬉しかったです。
奈子さんと2度目の会話はその2、3日後にありました。
放課後のことです。
「先生、髪きれーだよね」
そう言いながら私のロングの髪を触ってきました。