女の友情 (21/26)
「小原さん!気持ちが入ってないよ!」
「……はい!」
今日は気分が乗らない……
部活に身が入らず、先輩から何度も叱られた。
いつもなら、あっという間に過ぎる部活の時間も今日は果てしなく長く感じた。
帰り道、みのりと2人で自転車を漕ぐ。
私たちの間に会話はなかった。
みのりは完全に浮かれて、自分の世界に入っていた。
私ひとりだけが心苦しい沈黙を味わった。
明日のデートのことしか頭にないんだろうな……
帰宅後、出迎えてくれた母は私の変化に気付いてくれた。
「琴音?何かあったの?」
自分の部屋に入ろうとした時、呼び止められた。
母の心配する気持ちは嬉しかったが、悩みを今は相談する気分にはなれなかった。
私は自室の扉をバタンと閉めた。
はあ……
ついてないな、私。
ため息を吐いた。
同時に目に涙が押し寄せる。
どうしてこうなったの……
楽しい高校生活が始まると思ったのに。
辛いよ……
自分の両手を重ね、力一杯握った。
あ、そうだ。
その時、放課後の事を思い出した。
甘橋さんにメモを渡された事を。
なぜ私に連絡先を教えてくれたんだろう。
何か話があるはず。
深く頷きかけてくれた彼女の姿が瞼に蘇る。
……甘橋さんにLINEしてみよう。