胎児のゆくえ (2/10)
この2人が顔を合わせたことは、予想外で、そして少し不安。
一連の事件が収束してから最初の土曜日の午後。
学校は校舎の修復のため、臨時休校となっている。
全校生徒に死傷者は無し。
ほとんどの生徒が突然の臨時休校を喜んだのは言うまでもない。
私は今、駅前の喫茶店にいる。
3人で使うには少し狭いテーブル。
招かれざる客、佐々木みのり。
そして向かい側には笹峰万里子。
そして私、小原琴音の3人だ。
妙な状況になっていた。
本来なら私と万里子の2人で会うはずだった。
喫茶店で待ち合わせていたのだ。
事件が終わった事は万里子も知っていた。
ヨシキ君の訃報を知った万里子は、かなり落ち込んでいた。
「また髪切りに行かなくちゃ」
などと冗談を言っていたけれど、虚勢を張っているのは一目瞭然だった。
しかし突如みのりが乱入してきたのだ。
暇を持て余して駅前を歩いていたら、私たちを見つけたということだった。
「琴音!あたしも混ぜて!」
とみのりは突然現れたのだ。
隣の空席から自分が座る椅子を持参して、私の隣にやってきたのだった。
もちろん万里子とみのりは初対面である。
みのりが図太い神経の持ち主だということにやっと気がついた私だった。