独白の声 (14/14)
そして私たちは、駆けつけた消防隊員に救助された。
警察署で聴取を受けた。
そのあと、大貫刑事は私と篠崎さんに事件のことを少しだけ話してくれた。
あの日の放送は録音されたものだった。
放送は屋上での作業を邪魔されない為の囮も兼ねていたようだ。
「人を翻弄するのが上手いよ、あいつは……」
大貫刑事はそう言っていた。
何か意味ありげな表情をしていたのは気のせいだろう。
「刑事さん、結局あの甘橋って子は何者だったんですか?」
という篠崎さんの質問に、大貫刑事は両手を上げ、お手上げのポーズを取った。
甘橋さんは意識不明の状態らしい。
「さあね、それはあいつ……いや彼女が、目を覚ましたら質問してみるつもりだ」
コンコンと私たちがいた部屋をノックする音。
扉を開けて顔を覗かせたのは青野刑事だった。
「大貫刑事……結果が出ました」
と報告を受けた大貫刑事は部屋の扉へ向かった。
部屋を出る前に私たちを振り返った。
「ご協力ありがとう。君たちは間違っても犯罪なんかに手を染めちゃダメだぞ」
そう言い残し、大貫刑事は部屋を出て行った。