橋本 桐香 (60/63)
みんなが講義室から出て行く。
翔が最後まで残っていた。
冷酷な目で私を見つめていた。
「しょ…う……助けて」
「翔って呼ぶな汚らわしい。」
「………なお……いくん」
「俺の麗をよくも苦しめてくれたよな」
「っ……ごめ……」
「そんなんであいつの傷が癒えると思ってんのかよ。お前はあいつから全てを奪った、俺はかろうじて生き残った。
でも復讐のためにお前と付き合わなきゃいけなかったのは奪われたに等しいな
お前からも、大切なものを失う辛さを味わわせたかったんだよ
お前はこれから誰からもちやほやもされねぇし、友達もいなくなるな
勿論俺だって」
そう言うと翔は、大きなピンクの包み紙を渡してきた。
「俺からお前への最後のプレゼント。
大切にしろよ」
翔はそれだけ言って出て行った。
私を助けてはくれなかった。
血まみれの私に残されたのはそのプレゼントだけだった。