金 麗 (62/62)
「……え?」
「復讐のため 復讐のためって
コイツは彼女を苦しめた悪魔だって
言い聞かせていたけど
1年も一緒に思い出作ってたら
好きにならないはずねぇだろっ……」
俺はなぜか泣いていた。
どうしてだろう。
どうしてこんな弱い男になってしまったんだろう……
「ありがとう 翔。
でもあなたには金がいるんでしょ?
悲しむよ
戻ってあげて」
「桐香っ……」
「私と付き合ったら 今度は翔が標的になるよ?私を裏切ったって金がまた暴走し出すよ?」
「それでもいいよ」
「良くないよ」
「いいんだよ俺はお前のことが好きなんだよ!!!!」
「……」
俺は嗚咽を繰り返しながら桐香を抱きしめ続けた。
「…………落ち着いた?翔」
「……………ん」
なんで俺が慰められてるんだよ。
恥ずかしいと同時に、
俺はこれから桐香を守っていくと決めた。